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   インターネットとパテント情報

インターネットとWWW
インターネットで、WWWは電子メールとならんで良く利用される。WWWはWorld Wide Webの略で単にWeb(ウェブ)ともいいい、直訳すると「世界中に張り巡らされた蜘蛛の巣」という意味である。
WWWサーバー(あるいはWebサーバー)は、httpプロトコルを用いて送られてくるWWWブラウザからの要求に応じて、サーバープログラムを稼働させ、テキストファイル、画像ファイル、音声ファイル、動画ファイルなどの要求されるデータをWWWブラウザに送信する。
WWWブラウザはこれらの情報をハイパーテキスト形式で次から次へと辿っていくツールで、WWWサーバーが保有する上記の情報を検索して閲覧するためのアプリケーションソフトである。
ハイパーテキスト形式では、テキストファイル中にアンカーと呼ばれる重要な文字列(通常の設定では青い色で表示される)があり、ここをクリックすると別のページや別の文書、あるいは別のウェブサーバーにジャンプすることができる。
このようにクリックによって別のページにジャンプする機能をリンク機能と呼び、リンク機能を持たせることを「リンクを張る」と表現する。

図1 リンクを張ったハイパーテキスト文書(野島文司「Macintoshでホームページの達人になる」(日刊工業新聞社)より転載))


HTML(Hyper Text Markup Language)はこのようなハイパーテキストを記述する言語の一つで、テキストや画像などのホームページ構成要素のフォント、サイズ、位置などの表現形式やリンクの情報などを指定する。

WWWブラウザ
WWWブラウザーは、初期の頃はMosaicが話題の中心となり、その後はその後継のNetscape NavigatorとInternet Explorerが熾烈な主導権争いをしてきたのは周知のことである。最も良く利用されているInternet Explorerは、現在はほとんどのインターネット関連雑誌の付録CD−ROMに収められて無料で提供されており、たび重なるバージョンアップで使い勝手もNetscape Navigatorとそれほど違わないものとなっている。ただ、それぞれが独自にHTMLを拡張しているため、使用するWWWブラウザの種類によっては同じホームページの表示が異なったり乱れたりすることがあるので、各ホームページで推奨されているブラウザーを使用するのが無難である。
Netscape NavigatorもInternet Explorerもバージョンが前後することはあるが、Windows版もMac版も供給されている。
WWWブラウザはWWWだけでなく、電子メールやネットニュースなどのサービスにも対応しており、次第に統合化ソフトの方向に進んでおり、現在はNetscape NavigatorはNetscape Communicatorの一部を構成している。

URLとDNS
URL(ユー・アール・エル)はUniform Resource Locatorの略で、どこのネットワークにどのような方法(プロトコル)でアクセスするかを明示して指定するための書式、簡単にいうとインタネットの電話番号(アドレス)のようなものと考えればよい。
httpやftpなど、URLの先頭に指定されたプロトコルに応じてアクセス用のアプリケーションを使い分ける。
例えば、日刊工業新聞社のホームページのURLは http://www.nikkan.co.jp/ のように表される。
nikkan.co.jpの部分はドメインネームと呼ばれ、nikkanは日刊工業新聞社に割当てられた名前、その後のcoは組織の種別が企業であることを示すタグで、日本では企業はco、米国はcomと表す。
他にも教育は日本はac、米国はedu、政府関係は日本はgo、米国はgovなど少しずつ違いがある。
最後のjpは日本を示す国記号で、ドイツはde、イギリスはgbまたはuk、イタリアはitなどである。
例えば、フェラーリのホームページはhttp://www.ferrari.it/と表記される。
また、インターネットの先進国である米国だけは国記号が省略される。
米国のウェブサーバーに登録すればhttp://www.kochikame.com/のように表記され、国記号のjpは付かない。
ドメインネームシステム(DNS)に関する問題を解決するために、インターネット特別委員会(IAHC)が組織され、現在、組織の種別を示す3文字タグの追加拡張が検討されている。
雑誌や新聞などで紹介されるURLでホームぺージを開くには、Netscape Navigatorの「場所:」の欄にキーボードから正確に入力しなければならない。
ミス入力はもちろん、文字が全角だったりすると「次のサーバの場所を見つけられません」とメッセージが返ってくる。
またURLにはデレクトリーを示す「~」(チルダー、俗ににょろと呼ばれる)を入力する場合もあるが、これはかなりやっかいで、「〜」と間違えて入力されたりする。MSIMEでは「きごう」の読みで漢字変換すればよいのだが、うっかりするとキーボードのあちこちを無駄に打ちまくる羽目になる。

ブックマーク
一度アクセスしたホームページは気に入ったらブックマーク(本のしおりの意)を追加しておくと次に接続するときはブックマークを開いてクリックするだけよく、キーボードから入力する煩わしさや誤入力の心配がない。
Internet Explorerでは文字どおり「お気に入り」というわかりやすいメニューになっている。
ブックマークの数が増えてきたら分野別にフォルダーを作ってツリー構造に編集しておけば、個人のインターネットアドレス帳として重宝する。
URLはいつもキーボードから入力する必要はなく、インターネット関連雑誌、例えば、「ヤフー・インターネット・ガイド」などの付録のCD-ROMやフロッピーディスクからジャンル別に整理されたブックマーク集が入手できるので、「ファイル」メニューの「ファイルを開く」で読み込んでおけばキーボードから入力しなくともクリックするだけで接続できる。気に入ったらブックマークを追加しておく。

サイト検索ソフトと検索サイト
現在、世界中に無数のWWWのURLがある。この中で一般向きのものや有名なものは前述のブックマーク集などのインターネットアドレスブックからデレクトリーを追ってゆけば容易に入手できるが、特殊な分野のURLや新しく登録されるURLの中から目的のURLを探し出すにはコンピュータの検索機能によらねばならない。
このようなWWW検索ソフトはサーチエンジンとかサイト検索エンジンと呼ばれ、そのようなサービスを提供する検索サイトは日本語と海外のものを合わせて多数あるが、最も有名でよく利用されるのがYahoo!(ヤフーと読む。ヤッホーと読む別のサイト検索エンジンもあるので混同しないように注意)でその日本語版がYahoo! JAPANである。同サイトのサーチエンジンのページは下図のようなものである。

図2 サーチエンジン(註:最新のトップページでは違った画面が見られる)


検索の仕方は二通りあり、図2 の「キーワードを入力」の欄に、例えば、半導体とか特許といった単語を入力した後「検索」ボタンを押す方法と、その下の欄に示されるジャンルをクリックして、次々に絞り込んでゆく方法である。
キーワード検索では、例えば、コンピュータとかインターネットなどのあまりにも一般的なキーワードを入力して検索すると、膨大な数のURLがリストアップされることになるので注意する。そのような場合、ANDやORを使って複数のキーワードによる絞り込みをすればよい。
サイト検索エンジンにはYahoo!や日本語のYahoo!JAPANの他にもいろいろある。
日本語のinfoseek、goo( http://www.goo.ne.jp/)、google(http://www.google.co.jp/)、Hole-in-oneなど、海外ではAlta Vista、Excite、Lycosなどが代表的である。2000年の9月よりサービスの始まったgoogle(http://www.google.co.jp/)の特徴は、そのページに張られたリンク数でランク付けをし、検索条件に沿ったペ−ジを優先的に表示する技術が採用されている点である。


WWWの利用例
1. WWWオンラインニュース新聞を読む
Internet.comの提供するニュースは電子メール新聞による配信だけでなく、そのの記事はWebページ(http://www.internet.com/)でも読むことができる。その日本語版は半日ほどの遅れで、japan.internet.comで読むことができる。他にもWired NewsCNETZDNETNature など技術者に有用な情報を提供するサイトは多い。

2. 企業のデモソフトや 新製品カタログを入手する
例えば、Burr-Brown社のホームページ(http://www.burr-brown.com/)より最新の新製品カタログをダウンロードする。
PDF形式のファイルでA4で8枚の資料だが1分少々で完了する。
読むには、Adobe Acrobat Readerを用意しなければならない。用意がなければそのページからでもダウンロードできる。
Acrobat readerで読む場合、下図のようにA4サイズのデータシートが表示され拡大縮小は自由にできる。

図3 Acrobat ReaderでPDFファイルを読む

印刷すれば、FAXやスキャナーで取り込んだイメージに比べはるかに品位が良く、ほとんど印刷物と見分けが付かない。
またテキストはそのままコピーアンドペーストできる。

3.  特許情報を検索する
各国特許庁がコンピュータが得意とする検索処理を活用してデータベース機能を提供している。米国特許商標庁(USPTO)と欧州特許庁(EPO)などの例を概観する。日本特許庁(JPO)については次講で詳細を解説する。

(1)特許関連サイトをさがす
Yahoo! JAPANなどの検索サイトでキーワードをpatentと入力しsearchをクリックするとかなりの数のサイトがヒットするがその中から日本の特許庁のホームページ(http://www.jpo.go.jp/indexj.htm)を探してそこからスタートすることにする。

図4 日本特許庁のホームページ


日本の特許庁も1999年4月より特許電子図書館(http://www.ipdl.jpo.go.jp/homepg.ipdl )が開設され、特許等の検索が容易にできるようになった。これについては、次講で詳細に解説する。

(2)米国特許庁のホームページから検索
日本の特許庁のホームページの末尾のボタンをクリックして米国特許商標庁のホームページ(United States Patent and Trademark Office :USPTO)(http://www.uspto.gov/)にジャンプする。

図5 米国特許商標庁(USPTO)のホームページ


ここから3番目の「 Patents 」をクリックすると図6のパテント全般のメニューが表示される。

図6 パテント全般のメニュー


ここでServicesの最初にあるSerch patentsをクリックすると下図の検索スタートページが表示される。

図7 検索スタートページ


ここでは発明者の名前で検索することにして検索の方法として最初の「Quick Search 」を選びクリックする。
特許番号が判っている場合には、「Patent Number Search 」を選べばよいし、Switching Regulatorなど分野が決まっているときは、「Advanced Serch」を選んで特許分類番号を指定してゆけばよい。
Quick Serchの例では、Term 1にはInventorフィールドにsato、Term 2には同じくInventorフィールドにtakehisaと入力し、そのあとで右下の<Serch>をクリックする。

図8 Quick Serch でのキーワード入力例


Term 1のsatoとTerm 2のtakehisaはANDの関係で検索され検索結果は図9(検索結果)に示されるように11件のタイトルが表示される。

図9 検索結果リスト


検索された11件の中には、ソニーのsatoさんやtakehisaさん(それぞれ苗字と名前だけが一致)や、同姓同名の河合楽器のsato takehisaさんの申請したものも含まれている。
筆者のものは最後の二件のスイッチング電源に関するもので、例えば、11のProtection of a switching regulatorをクリックすると前半に発明者、申請者、特許分類番号などの内容が表示され、後半には引用した特許と特許の要約が示される。

図10 特許抄録


また、「Refferenced By」をクリックすれば、この特許が他の特許文書で引用されている状況もわかる。

(3)米国Delphion社(IBM関連会社)
以前、米IBMがサービスしていたIBM Patent Server Home Pageは、関連会社のDelphion社(http://www.delphion.com/)に移され、引き続きWeB上で総合的な特許検索サービスを提供している。

このサービスは1971年から現在までの26年間の約200万件のパテント文書にアクセスできるが、かなりの部分が有料化されており、無料で検索できるのはQuick SerchとPatent Number Serchに限られる。
Patent Number Serchによる検索例を下図に示す。

図11 Delphion社の検索サービス例


この画面で右上のイメージをクリックするとイメージファイル(TIFF)が拡大表示される。

図12 特許のイメージファイル(TIFF)


(4)欧州特許庁(EPO)

欧州特許庁(EPO)の検索機能で特徴的なのは、EPO関連のパテントだけでなく、米国パテントと日本のパテントを一網打尽に検索できる点である。

ちなみに、筆者の名前とApplicantをSANYOとして検索すると下図のようにドイツのパテントを含め13件がヒットする。

図13 EPOの検索結果リスト


プロパテント(特許重視)政策
最近、テレビや新聞で「プロパテント」とか「ビジネスモデル」という言葉がよく聞かれるようになった。プロパテントは、赤字に困り抜いたレーガン時代のアメリカが実行し始めた政策で、報告書(ヤング・リポート)がその基礎になったといわれている。
同報告書は日本の産業技術カに対抗するために、先端技術分野での産学協同の推進、特許など知的所有権の保護強化などを提言し、米国経済復活のきっかけとなったとされるものである。要は、「パテントの保護強化政策」である。これまでのような特許を真似するほうが得(侵害し得)になるようなアンチパテントから反転して、どんな小さなアイデアでも権利にして高く売り、貿易赤字の半分は、それでまかなおうという法律である。
しかも、いままでは、ものの売買、サービスの売買だったが、これからは、アイデアを権利にして、その権利を高く売ろう、そうすると、工場もいらない、運賃もいらない、という政策である。それが欧米に広まり、世界中に知的所有権という名で広まった。
このことは、WIPO(世界知的所有権機関:ワイポ)の統計資料に基づく図14(特許庁のホームページより引用)から、米国をはじめとする各国が自国の利益を保護しようと他国に対して権利を主張する傾向、すなわち特許のグローバル化が強まっていることをうかがい知ることができる。

図14 世界の特許出願件数の推移(特許庁のホームページより引用)
8.JPG

これを国別に見ると、日本のように対自国出願が圧倒的に多い国(対自国出願340,861件、対外国出願190,895件)に対し、米国のように対外国出願の圧倒的に多い国(対自国出願111,883件、対外国出願1,136,091件)と比率に大きな格差がある。英国のように一見ウインブルドン現象を起こしているように見えながら(国内からの出願28,889件、外国からの出願147,298件)、英国からの対外国出願は226,702件と日本の対外国出願190,895件を上回っている。(数字は1996年のWIPO統計データより引用)
日本は特許出願件数では群を抜いており、「特許大国」のように言われているけれども、諸外国との関係では、「日本たたき」とか「日本バッシング」といった言葉で表現されるように、ちょっとした著作権で、何十億円、何百億円も日本からとっている知的所有権侵害の裁判などが頻繁に起こっている。
今、日本もこれに対抗すべく、産学官の協調体制による国家産業技術戦略の策定が急がれている。その背景には、90年代にバイオや情報通信などの技術開発カで欧米に水を開けられつつあるという官民共通の強い危機感がある。
                           

参考資料

立花隆「インターネット探検」 講談社
豊沢豊雄「だれでもわかる特許出願法」 実業之日本社
荒井寿光「特許はベンチャービジネスを支援する」 発明協会
荒井寿光「これからも日本もプロパテントの時代」 発明協会
荒井寿光「特許戦略時代」 日刊工業新聞社
藤村靖之「ひらめき!発明市場ー日本の特許・・・やっと変わります!」http://www.hatsumei.ne.jp/
藤村靖之「企業家は未来に点を打つ」 エイチアンドアイ社
岸宣仁 「特許封鎖 アメリカが日本に仕掛けた罠」中央公論新社 2000年10月
「はばたけ 知的冒険者たち 知的財産権についての21世紀戦略」(民主党IP戦略