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特許電子図書館
はじめに
日本特許庁のホームページの充実ぶりには、目を見張るものがあり、数多い行政官庁のホームページの中で最も充実しているとの評判が聞かれるようになっている。
なかでも、1999年(平成11年)3月31日からスタートした「特許電子図書館」は、インタ−ネットによる総合的な特許情報提供サ−ビスで、ベンチャ−企業など中小企業や個人が特許情報を容易にしかも無料で活用できるようになったことで注目に値する。
この講座では、この「特許電子図書館」を利用した特許情報の検索・収集からスタートし、同じく米国特許庁のサービスを通して得られる電子情報を基に、翻訳やデータベース化を行う活用法を紹介してゆく。
日本特許庁のホームページ
日本特許庁のホームページは最近とみに充実している。工業所有権に関するホームページとしても、質量とも最高なので、まずこのページを丹念に読むことが最近の特許事情を理解する最短距離だろう。
このホームページは英語版と日本語版があるので、通常は日本語版のページ(図1)が開かれるように「お気に入り」に登録しておくと便利である。
図1. 日本特許庁のホームページ

はじめて読む場合は、「長官からのメッセージ」を読んで「早く、強く、広い」プロパテント政策や世界特許システムの動向などを念頭に置いた上で、細部のメニューに進むのがよいだろう。
単にデ−タベ−スだけでなく、注目特許、統計資料、関連ホ−ムペ−ジリンクなど有益なデータが多い。
主なメニー項目として次のようなものが挙げられる。
・制度紹介
制度概要 法律や歴史を掲載。
注目特許 月毎に数件の注目特許が紹介されている。ここのところ更新が滞っているのが残念。
権利を取るためには 権利取得までの流れが説明してある。
よくある質問(FAQ) 出願に関する基本的な事項などがQ&A形式で説明してあり、初心者は、分からないことがあったらまずここを調べるようにしたい。
問い合わせ先 様々な質問に対応する問い合わせ部署の連絡先が載っている。
・お知らせ
出願手続ニュース とくに特許出願がはじめての人には役に立つ。電子出願について詳しく説明されており、パソコン電子出願端末によるオンライン出願の申し込み手続きの様式もここからダウンロードできる。この項は後の回で改めて詳述の予定である。
審査情報 審査に関するトピックスが載っている。とくに制度概要や指針の公表
などの情報は役に立つ。
その他 学生向け特許教育用の漫画「特許ゲット物語」(PDF形式
2,377KB)などがダウンロードできる。「先行技術は、インターネットで簡単に調べられます」
などと脚注が付いていてうれしくなってくる。
・特許電子図書館(IPDL)
提供サービス一覧 日本特許庁が提供する特許情報のデータベースを検索することができるサイトで、日本についてほとんどすべての出願内容を見ることができる。
特許電子図書館とは? 「特許電子図書館サービス利用マニュアル」をダウンロードできる。
・統計・資料
各分野別の出願件数推移など
・関連ホームページリンク
各国特許庁へのリンクが掲載されており、米国やヨーロッパ特許庁のホームページへ行くと日本と同様に先行技術を調査することもできる。また関係団体や特許情報事業者リストも掲載されている。
特許電子図書館(IPDL)
とくにこの中で、平成11年3月31日からスタートした「特許電子図書館」(図2)は、インタ−ネットによる総合的な特許情報提供サ−ビスで、ベンチャ−企業など中小企業や個人が特許情報を容易にしかも無料で活用できるようになったことで注目に値する。
図2. 特許電子図書館トップページ

(1)特許電子図書館とは何か
「特許電子図書館とは?」をクリックして開いたページから[特許電子図書館サービス利用マニュアル」(PDF形式、容量2.56MB)をダウンロードして利用できる。
図解入りで、非常に分かりやすくまとめられた
60ページのマニュアル(図3)なので、「特許電子図書館」のサービスを利用するにあたっては、ぜひダウンロードして熟読されることをお薦めする。
以下の説明ではこのマニュアルより引用したものを抜粋要約している。
図3. 特許電子図書館サービス利用マニュアル

(2)特許電子図書館のサービスの種類と内容
特
許電子図書館(IPDL)のページへは特許庁ホームページ上にある”特許電子図書館(IPDL
)”をクリックすることでアクセスすることができる(図2)。
特許電子図書館は、次のような大きく8 つのサービスに分かれている。
1)特許・実用新案検索
2)意匠検索
3)商標検索
4)外国文献検索
5)審判検索
6)経過情報検索
8)文献蓄積情報
7)その他情報
注)2000年3月30日より、「初心者向け検索(特許、意匠、商標検索)」が追加されて9つのサービスとなっている。
この講座では、これらのうち「1)特許・実用新案検索」と「4
)外国文献検索」を扱うことにする。
(3)特許・実用新案検索のサービス内容
「提供サービス一覧」をクリックすると、サービスの内容を簡単に説明したサービス選択画面に切り替わりる。(図4)
図4. 特許電子図書館提供サービス一覧

ここで小項目
、例えば、「特許実用新案を検索する(初心者向け簡易検索)」をクリックすると直接そのサービスの検索画面に切り替わる(図5)。
図5. 特許実用新案を検索する(初心者向け簡易検索)

特許・実用検索では以下のような内容の情報を提供している。
特許・実用新案を検索する(初心者向け検索)
平成12年3月30日に追加拡充された初心者向けの簡易検索で、平成5年以降の特許・実用新案の公開公報を「技術用語」、「出願人」、「発明者」で検索できる。
「技術用語」には「携帯電話」、「半導体」、「コンピューター」などの語句(フリーワード)を使用できる。検索画面は先に示した図4である。
特許・実用新案公報DB
特許・実用新案の各種公報を、文献番号で照会することができる。
特許・実用新案文献番号索引照会
ある一つの番号から各種番号を照会することができる。さらに、公報種別を選択することで公報を照会することができる。
IPC 検索
特許・実用新案の各種公報を、IPC(国際特許分類)、ファセットを用いて検索することができる。
FI ・F ターム検索
特許・実用新案の各種公報を、特許庁内で使用しているFターム、FI
、ファセットを用いて検索することができる。
注)FI:File Index、Fターム:File Forming Term
公開特許公報フロントページ検索
平成5年1月以降発行の公開特許公報のフロントページにリーガルステータス(9項目の簡易経過情報)を加えた情報を、フリーワード等で検索することができる。
PAJ 検索
平成5年1月以降発行の公開特許公報の英文抄録にリーガルステータス(9項目の簡易経過情報)を加えた情報を、フリーワード等で検索することができる。
公報テキスト検索
平成5年1月以降発行のCD-ROM公報のデータを、フリーワード等で検索することができる。
パテントマップガイダンス
FタームやFI 、IPC(国際特許分類)を参照することができる。
また「4)外国文献検索」では、
外国公報DB
各種外国文献を文献番号で照会することができる。
米国特許分類検索
米国特許明細書を米国特許分類で検索することができる。
検索キーワード
各サービスは基本的に、「検索(照会)条件入力画面」、「検索(照会)結果一覧表示画面」、「文献情報表示画面」で構成されている。「検索実行」ボタンや「一覧表示」ボタンなどをクリックすることで、切り替えることができる。
先に例として取り上げた「特許実用新案を検索する(初心者向け簡易検索)」のように、フリーワードで検索する場合には、キーワードに関して特別の知識は必要ない。
しかし、出願の先行技術調査のためには、すでに同じような発明(考案)についての出願がされている場合は特許(実用新案登録)出願が無駄になるだけでなく、研究開発に要する金銭的・時間的コストも無駄になるので、検索に漏れがあってはまらない。
先行技術調査として漏れがなく、効率の良い検索を実行するには、IPC(国際特許分類)、FI、Fターム、ファセットについて知っておく必要がある。その内容はパテントマップガイダンス(図6)で調べることができる。
公開公報は、特許および平成5年改正法以前の実用新案について出願日から1年6ヶ月経過後に発行される出願内容を公開するためのもので、公開までに取り下げ等されない限り必ず発行されるので先行技術調査の対象として最も重要である。また、フロントページには要約と代表図面が掲載してあり調査がしやすくなっている。
図6. パテントマップガイダンス

(1)IPC(国際特許分類)
国際的に標準化されている特許を分類するためのコードの体系で、2000年1月1日より第7版が発効する。コンピュータ検索において調査対象を絞り込むときに役立つ。IPCでは、特許の分野で適当であると認められる全知識体系を8つのセクションに分けて表現している。各セクションは、大文字AからHの内の一つで表示され、次のようにタイトルが付けられている。
A: 生活必需品
B: 処理操作;運送
C: 化学;冶金
D: 繊維;紙
E: 固定構造物
F: 機械工学;照明;加熱;武器;爆破
G: 物理学
H: 電気
例えば、釣針の新しい構造について特許出願をしようとすると場合のIPCの表記はどうなるかということを念頭においた上で、IPCの階層構造を見てみよう。
各セクション内に、例えば、「農業」のように、分類記号のないタイトルを持つサブセクションが設けられる。
各セクションは、クラスに細分化され、各クラス記号は、例えばA01のように、セクション記号にさらに二つの数字を付けたものからなる。クラスタイトルは、クラスの内容を指示する。例:A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業
各クラスは一つ以上のサブクラスを含み、各サブクラス記号は例えば、A01Kのように、クラス記号にさらに一つの大文字を付けたものから成る。
サブクラスタイトルは、サブクラスの内容をできるだけ正確に指示する。
例 :A01K 畜産;鳥、魚、昆虫の飼育;漁業
各サブクラスは、”グループ”と称する細展開項目に展開される。”グループ”はメイングループかまたはサブグループである。
各メイングループ記号は、サブクラスの記号に続く一つから三つの数字、斜線および数字00をつけたものからなり、メイングループタイトルが付けられる。
例 :A01K 83/00 釣針
各サブグループ記号は、サブクラス記号に続き、そのメイングループの一つから三つの数字、斜線および00以外の少なくとも二つの数字を付けたものからなり、サブグループタイトルが付けられる。
サブグループタイトルは、そのサブグループの階層的位置を示す一個以上のドットが頭に付く。例:A01K
83/06 ・ 釣針に餌を保持する用具
このようなIPC分類で、電子技術者に最も関係の深いセクションはGとHセクションで、これをクラス分類別の出願件数でグラフ化したものを図7に示す。H01:基本的電気素子、H04:電気通信技術、G06:計算;計数の順に突出している。
図7. クラス分類別の出願件数(1997年度)

(2)FI記号
特許庁のサーチファイルの編成に用いられる分類記号で、国際特許分類をベースにさらに細分化した分類がなされている。コンピュータ検索において調査対象を絞り込む際にはIPCよりも使える。公開公報のフロントページには記載されている。FI記号も特許電子図書館のパテントマップガイダンスで調べることができる。
(3)Fターム
特許庁が作成する詳細な分類のためのコード体系で、技術を複数の技術的観点(目的、用途、構造、材料等)からIPCを所定技術分野ごとに細かく再区分したもの。Fタームも特許電子図書館のパテントマップガイダンスで調べることができる。