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     パテントの検索

先行技術調査

出願が拒絶される理由のほとんどは、先行技術があるために新規性に欠けることによる。すでに同じような発明や考案の出願がされている場合は、特許(実用新案登録)
出願は無駄になってしまう。出願の無駄をなくすことは、出願費用の無駄をなくすだけでなく、研究開発に要する金銭的損失や時間的損失をなくすことでもある。
注)平成6年から実用新案は無審査になり、権利期間も6年に短縮され、登録料も出願時に同時に払うので、特許料よりも高くなった。したがって、今後の出願は特許が主流である。この傾向は、図1のデータで明らかである。

図1 特許と実用新案の出願傾向
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また、先行技術を把握することは、上記の無駄を省くだけでなく、新たな改良発明(考案)を生み出すきっかけを与えてくれるので、調査は重要な意味を持つ。
特許出願は、出願から1年6ヶ月すると、公開公報として発行され、出願内容の全文が公開されるので、技術文献としても第三者が利用できるようになる。これは、先行技術調査の対象として最も重要である。また、フロントページには、要約と代表図面が掲載してあるので、調査がしやすくなっている。
先行技術調査には、登録された特許や実用新案もその対象になることは言うまでもない。

公開公報/公報の調査

公開公報/公報を見ると、他人の特許に抵触しないための先行技術調査としてだけでなく、同業他社の技術開発動向や特許出願動向を把握することができるので、公開公報/公報の内容をさらに発展させ新しい技術を生み出すための参考にできるので、重複出願、重複研究を防止する上で重要である。

(1)古典的方法

公開公報/公報を調べる古典的な方法は、特許庁や全国の発明協会もしくは特許情報センター、知的所有権センターへ行って、発行された公報を直接閲覧することだ。とはいっても、各県に一カ所くらいしかないから出掛けるにしても相当の覚悟がいる。平日に時間がある人でないとできない。公報は最新のもの以外はIPCにより分類されているので各年度分を手でめくって検索する。
また、「権利譲渡または実施許諾の用意があるもの」の一部の特許公報と実用新案公報が特許庁から年度別にまとめられて出版されているので、最寄りの図書館を探してみるのもいい。ただし、網羅したものでないから、アイデアの参考にはなっても、先行技術調査としては頼りにならない。

(2)インターネットを利用する方法

インターネットを使用できる環境があれば、まず前号で紹介した特許庁ホームページ(http://www.jpo.go.jp/indexj.htm)の特許電子図書館(IPDL)で検索を試みるべきである。学生向け特許教育用の漫画「特許ゲット物語」(PDF形式 2,377KB)では、「先行技術は、インターネットで簡単に調べられます」 と脚注が付いている(図2)。なんとも心強いかぎりである。

図2 「特許ゲット物語」
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米国特許であれば、米国特許商標庁United State Patent and Trademark Office(USPTO)のホームページ(http://www.uspto.gov/)(無料)やDelphion社(http://www.delphion.com/)(有料、一部無料)で検索サービスが行われている。

初心者向け検索

2000年3月30日より特許電子図書館のサービスに、「初心者向け検索(特許、意匠、商標検索)」が追加された。特許・実用新案の場合、平成5年以降の公開公報(いわゆる公報ジャ−ナル)であれば、キ−ワ−ドとして語句(フリーワード)を用いて全文の検索できるもので、インターネットに馴染みがあれば、Yahoo!やAltaVistaなどのインターネット検索を行うのと同じ感覚で利用できる。
例えば、フリーワードとして「電子体重計」として入力してみよう。検索結果が図3のように表示され、「一覧表示」ボタンをクリックすると該当する公報のリストが図4のように表示される。この中から、番号を選んでクリックすれば簡易表示画面が表示される。

図3 初心者向けの検索による「電子体重計」の検索結果
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図4 「電子体重計」の検索結果の一覧表示
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しかし、「電力増幅器」や「スイッチング電源」といったフリーワードを入力した場合は、1000件以上がヒットするので、この場合は自動的に絞り込みの画面が表示される(図5)。

図5 「電力増幅器」の検索結果
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ここで、絞り込みの条件として、「電力増幅器」に対して「オーディオ」、「スイッチング電源」に対して「オフライン」などの語句を入力する。これを加えると検索結果が図6のようにリストアップされる。

図6 絞り込み検索結果の一覧表示
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さらに、検索期間も指定可能になっている。
最初から相当数のヒットが予想される場合は、「電力増幅器 オーディオ」とフリーワードを入力し、「の全てが含まれる」を選んでおけばフリーワードのAND検索が実行される。
結果の簡易表示でも詳細表示でも、テキスト中のキーワードの「オーディオ」と「電力増幅器」の語句は赤い文字で表示される(図7)。

図7 検索公報の表示画面
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やや専門的な検索

先月号で紹介した「特許電子図書館サービス利用マニュアル」に図解入りで、詳細な検索手順が説明されている。
各サービスで、入力するキーワードの種類が異なり、入力のフォーマットも多少異なるが、共通する入力フォーマットとして次のように整理できるので、これを頭に入れておけば、個々のサービスで応用して対応できる。

(1)検索キーワードの基本的入力フォーマット

フリーワード: 検索したい語句をそのまま入力する。
   例 半導体、コンピュータ
文献番号
 和暦を含む番号は、[(元号)-(一連番号)]を半角で入力する。
   元号は、平成 H、昭和 S、大正 T、明治 Mに置き換える。
   和暦は必ず二桁で入力し、和暦と一連番号の間に「-(ハイフン)」を入れる。
   例 H05-123456
 西暦を含む番号は、 [(西暦)-(一連番号)]を半角で入力する。
  例 2000-123456
 いずれの場合も一連番号の前の0(ゼロ)は、省略可能
   例 H05−123
     2000-123
日付け: [(西暦年)(月)(日)]を半角で入力する。月と日は二桁で入力する。
   例 19990607
     「1999年1月1日から1999年3月31日まで」の場合、日付けと日付けの間に「:(コロン)」を入れる。
   例 19990101:19990331
文献種別: 公開特許公報 A、特許公報 B、公開実用新案、登録実用新案 U
分類、区分、類似コード: [(コード)] を半角で入力する。
  例 IPC分類 「B32B27 /00 」の場合:B32B27/00
    IPC 「G05F10/00またはG05F30/00 」の場合:
      G11B15/60+G11B15/61

(2)検索実行例
ここでは「IPC検索サービス」の検索実行例を取りあげる。
スイッチング電源の最新の公開特許公報を調べる目的で次のように入力する。
特許種別:特許公開
検索期間:2000年1月以降ということで「20000101〜空欄」とする。
条件:スイッチング電源のIPC組み合わせ検索入力式として「G05F1/00+G05F3/00+G05F5/00+G05F7/00 +H02M1/00+H02M3/00+H02M5/00+H02M7/00+H02M9/00+H02M11/00+H02H3/00+H02H7/00+H02H9/00」を用いる。
検索の結果、図8のように37件がヒットした。
リストをクリックすると一覧表示されるので、その文献番号をクリックして内容を表示させる。
平成5年以降発行のCD-ROM公報に該当する文献は、「テキスト+図面」で表示される。「レイアウト」ボタンをクリックすることにより、「公報イメージ」表示に切り替えることができる。平成4 年以前に発行された公報は「公報イメージ」表示のみとなる。

図8 「スイッチング電源」のIPC検索結果
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より高度な検索
IPCの組み合わせに加えて、FIやFタームを駆使すれば効率的な絞り込みが可能になるが、かなりの習熟を要する。