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 米国パテントのオンライン出願(1)

個人で米国へパテント出願ができるか?
 筆者は現役の技術者だった頃に数件の米国特許を出願したが、特許担当者から1件につき70万円近い申請費用がかかると聞かされていたので、個人が米国に特許を出願するなどとてもできない相談と長い間思い込んでいた。
ところが、たまたま近くの図書館で 「5万円でできる米国への特許出願」(豊沢豊雄・吉村靖弘 騎虎書房 1993年8月発刊)という本を見つけて読んでみると、弁理士に頼らず個人で直接米国特許商標庁(USPTO)に申請でき、しかも申請費用は355ドルで済むという。
残念ながらこの本は、現在絶版となっており、新規に購入することはできない。
ただし、現在はインターネットが普及したお陰で、米国特許商標庁(USPTO)のホームページ(http://www.uspto.gov/)(図1)に容易にアクセスでき、豊富な資料を即座に入手できるので、このことを確認できる。

図1 米国特許商標庁(USPTO)のホームページ
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例えば、Ceneral Information Concerning Patentsで(またはSerch Collection メニューで)Forign Applicants for United States patents(外国の出願人)をクリックすると
"Foreign Applicants for United States Patents (Excerpted from General Information Concerning Patents print brochure)"(「米国パテントの外国の出願人(印刷パンフレット「パテントについての一般情報」からの抜粋)」の中で、出願人の資格として次のように述べられている。

 The patent laws of the United States make no discrimination with respect to the citizenship of the inventor.
米国の特許法は、市民権に関して発明者の差別をしない。
Any inventor, regardless of his/her citizenship, may apply for a patent on the same basis as a U.S. citizen.
どのような発明者でも 、 彼(彼女)の市民権に関係なく 、 アメリカ市民と同じ基礎に立ってパテントの出願ができる。
A foreign applicant may be represented by any patent attorney or agent who is registered to practice before the United States Patent and Trademark Office.
外国の出願人は、米国特許商標庁に実行するために登録されたどのような特許弁護士または弁理士をも代理人とすることができる。

出願費用は5万円以下でできるか?

また、現時点の特許出願料については、ホームページのSerch CollectionのメニューからFeesの項(図2)にアクセスすると、独立クレーム(Independent claims)3件と従属クレーム(Dependent claims)20件までは基本料金(Basic fee)で、小規模権利人(Small Entity )に対しては355米ドルであることがわかる。
追加料金(Extra fee)は独立クレーム1件ごとに36米ドル、従属クレーム1件毎に10米ドルとなる。
面白いことに米国の制度では、発明者が個人や小企業(社員数500人以下)、あるいは非営利団体のような小規模権利人(Small Entity )場合は、所定の書類を提出すると出願料は半額になる。それも、2000年9月8日以降の出願では、これまでのような小規模出願陳述書を提出する必要はなくなった。
料金表は毎年10月に改正され、最新の料金表によれば、小規模権利人(Small Entity )出願の場合、前述のように355米ドルであり、円レートが120円とすると、120円×355ドル=42,600円となる。この金額が「5万円でできる」の根拠である。

図2 特許出願料についての説明
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出願の方法
 前記の「5万円でできる米国への特許出願」の中で説明されている出願の方法は、紙による書類の郵送による出願だけであるが、インターネットによるパテント出願サービスが、2000年10月27日に開始された。これは、クリントン/ゴア内閣の電子政府に対する公約の一例であるという。
紙による書類の郵送による出願の方法は、前記の「5万円でできる米国への特許出願」の中で懇切丁寧な解説がされているので、重複説明は避け、オンラインによる書式(Forms)の入手法などだけを補足することにし、以下、主にオンライン出願に重点を置いて説明する。
 
(1)紙による書類の郵送による出願
米国パテントの出願に必要な書類は以下のようなものである。

 1.明細書
 2.要約書
 3.図面(無い場合もある)
 4.特許出願宣言書
 5.小規模出願陳述書(現在は不要) 
 6.特許出願書類送付状(付けなくともよいが、出願料の計算を間違わないように添付が望ましい)
 7.出願料
1〜3が特許の本体で、3の図面は必要ない場合もある。
4〜6の書類はホームページのFormsメニューからテンプレートをダウンロードできるる。
 特に 4.特許出願宣言書は、親切なことに、Formsの中には外国の出願人のために各国別のフォームが日本語、ドイツ語、フランス語、イタリア語など各国語と英語の並記された形で用意されている(図3

図3 各国別特許出願宣言書のフォームが用意されている
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日本語の書式を入手するには、図3のようなFormsのメニュ(http://www.uspto.gov/web/forms/index.html)
で書式番号PTO/SB/106の日本語の特許出願宣言書Declaration for patent application (Japanese langage declaration)(PTO/SB/106)
 をダウンロードする (図4)。

他に
・New Design Patent application transmittal (PTO/SB/18
 特許出願書類送付状
もダウンロードする。
いずれもAdobe社の PDF形式なので、これを読むには予めコンピュータにAdobe Acrobat readerをインストールしておく必要がある。
これだけの書式が揃っていれば、紙による出願に際しては十分である。


なお、これまで使われてきた
・Verified Statemant (Declaration) Claiming Smalli Eentity Status(
37CFR1.9(f) and 1,27(b)9---Independent inventor---(PTO/SB/09)
 小規模出願陳述書
の提出は必要でなくなった。

図4 日本語と英語の並記された特許出願宣言書フォー
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(2)インターネットによるオンライン出願
インターネットによるパテント出願サービスは、2000年10月27日に開始された。
同局のプレスリリースから抜粋した内容を筆者の和訳により以下に示す。
「今日、アメリカ特許商標局(USPTO)は、その電子機器特許出願ファイリング・システム(EFS)のフル稼動を始めた。今や、誰でも新しい発明のためにインターネットを使ってUSPTOに出願することができる。前々から、申請者の選抜グループが、パイロット・プロジェクトに参加していた。同機関は、インターネットを使って出願を書いて申請するためのソフトウェアを顧客に提供するために、そのウェブサイト上に、
EFS(http://www.uspto.gov/ebc/index.html)のサポートする電子ビジネス・センター(EBC)を設置した。EFSソフトウェアは、すべての出願構成要素を整理し、料金を計算し、出願コンテンツを検証し、さらに圧縮し、暗号化し、ファイルをUSPTOに送る。特許出願は、法規によって機密を守られている。このように、同機関はまた出願に署名するために申請人に顧客番号とデジタル認証を提供し、申請人のPCからUSPTOの電子メール室までずっとEFS伝送が暗号化されるの確実にするためにデジタル認証を用いる。同機関は、 電子出願のセキュリティを保証するために最新の公開鍵基盤(PKI)技術を使用している。EFSは、申請人がUSPTOルールを厳守するのを手助けし、遅れをもたらす書式の間違いを避けるために内蔵の検証機能を持つ。
EFSは、パテント出願処理の完全自動化と品質改良の大きなステップである。
1790年の最初の特許以来600万以上の特許が出され、1870年の最初のものから230万の商標が登録された。昨年は、USPTOは161,000の特許を公布し、104,000の商標を登録した」

Webサイトの解説ではさらに具体的に次のように説明している。
(1)EFSとは?
EFSは、特許出願、コンピュータで読めるフォーマット(CRF)のbiosequenceリスト、および予め許可された届け出書類をインターネットによってUSPTOに提出するための電子システムで 以下のものを内蔵する。
* 出願人が XMLフォーマットで特許明細書を準備するの支援するオーサリング・ツール
*出願のいろいろな部分を整理してインターネットで出願をUSPTOに送るためのePAVE(電子パッケージと検証エンジン)と呼ばれるソフトウェア・パッケージ
*USPTOへの出願の伝送を保証するためのデジタル認証

(2)どんな種類の届け出書類がEFSで申請できるか?

*新しいユーティリティ特許(Utility patent)出願
*紙で以前に提出される出願のためのBiosequenceリスト

(3) 現時点でEFSが受け付けないもの
*意匠特許(Design patent)出願
*新しい植物特許(Plant patent)出願
*再発行出願
*仮出願(Provisional application)
*国際特許協力条約(PCT)出願
*再審査要求

新規ユーザーがオンライン出願を利用するための準備
インターネット接続できる環境が整っているからといってすぐにオンライン出願ファイリングシステム(EFS)の機能を利用できる訳ではない。
事前にUSPTOとのFAXや航空便によるやりとりが必要である。
これらの手続きは、同ホームページの
New Users - Obtaining Customer Numbers and Digital Certificates
(http://www.uspto.gov/ebc/digitalcert.htm)
を参考に次のステップで進める。

ステップ1.カスタマー番号の請求書
(Request for Customer Number)の書式(PDF 12K)をダウンロードし
図5のように記入する。

図5 カスタマー番号の請求書記入例
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電話番号は国番号(日本は81)も含める。

もし、すでに実施人登録番号を持っている人がいてこの住所に割り付けを希望する場合は中程の欄に登録番号を記入する。

記入が済んだらFAXで送信する。Faxの送付先は 1-703-308-2840で、1は米国の国番号を示す。
約10日で USPTOより航空便でカスタマー番号が送られてくる。

ステップ2.
カスタマー番号を入手したら、次にUSPTO Certicate Action Form(図66)をダウンロードし、記入した書類をFAXではなく郵送で
U.S. DEPARTMENT OF COMMERCE
Patent and Trademark Office
Box EBC
Washington, D.C. 20231
宛に送る。

図6 Certificate Action Form記入例
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記入要領は、instructions.pdfをダウンロードして参考にすると良い。
Block1では、個人発明家は、ProSe Inventorのボックスに×印でチェックする。
Block2では電話番号やFAX番号には国コードも含めて、例えば810276884322のように記入する。カスタマー番号は、先に送られてきた番号を転記する。
Block3では、最初の行のCertificate Applicationのボックスをチェックするだけでよい。
Block4とBlock5は、ここに何も記入せず、運転免許証またパスポートを用意して最寄りの公証役場に出向き、Block4に書くサインを認証(公正証書に)して(nortarize)もらう必要がある。30分足らずで公正証書(notarized deed) はできあがる。公証役場は、インターネットで「公証役場」と都道府県名、例えば「群馬」をキーワードとして AND検索するとその所在場所などの情報を見い出すことができる。公証人(notary public)の資格を持つ人は全国で300人ほどと少ないので、最寄りの公証役場とはいっても地方に住む場合は、一日がかりになるケースもある。
例えば、群馬県の県境に近い住人が、長野県や埼玉県の方により近い公証役場がある場合は、そちらでも手続きはできるし、東京に出向いてもできる。
ただし、これはサインの認証の場合であって、特許・発明の事実実験で出張するような場合は、公証人の管轄権( notary jurisdiction)により県内に限定されるとのこと。
米国でも州に対して同じことが言えるということである。
                               

参考資料

豊沢豊雄・吉村靖弘「5万円でできる米国への特許出願」騎虎書房 1993年8月発刊
米国特許商標庁(USPTO)のホームページ: http://www.uspto.gov/