第10回
パソコン通信とインターネット(4)
インターネットというとWWWがイメージされるほどに、WWWはパソコンと直接関係のない一般の人にも知れ渡っている。
WWWの画像や動画の持つ華やかさが、パソコン通信のテキストベースのものでは得られない魅力を持ち、wwwブラウザの開発に支えられてここ数年で急激に増加し、現在では世界で約6、000万ほどホームページがあると言われている。
このような活況ぶりは、一過性のインターネット・ブームで終わることなく、21世紀に引き継がれてゆくことだろう。
今回は、米国特許情報の検索や新製品カタログの入手などの実例を取りあげて、WWWの利用法について学ぶ。
WWWとインターネット
インターネットには電子メールやネットニュースなどの他にもFTP(検索にはArchieやGopher)、WWW、Telnetなどのサービスがある。この中で、電子メールとならんで良く利用されるのがWWWである。
WWW(ダブリュー・ダブリュー・ダブリューまたは単にウェブと読む)は、World
Wide
Webの略で、直訳すると「世界中に張り巡らされた蜘蛛の巣」という意味で、昨今のインターネットブームの立役者である。
WWWサーバー(ウェブサーバーとも呼ばれる)は、httpプロトコルを用いて送られてくるWWWブラウザからの要求に応じて、サーバープログラムを稼働させ、テキストファイル、画像ファイル、音声ファイル、動画ファイルなどの要求されるデータをWWWブラウザに送信する。
WWWブラウザはこれらの情報をハイパーテキスト形式で次から次へと辿っていくツールで、WWWサーバーが保有する上記の情報を検索して閲覧するためのアプリケーションソフトである。
ハイパーテキスト形式では、テキストファイル中にアンカーと呼ばれる重要な文字列(通常の設定では青い色で表示される)があり、ここをクリックすると別のページや別の文書、あるいは別のウェブサーバーにジャンプすることができる。
このようにクリックによって別のページにジャンプする機能をリンク機能と呼び、リンク機能を持たせることを「リンクを張る」と表現する(図1 リンクを張ったハイパーテキスト文書(野島文司「Macintoshでホームページの達人になる」(日刊工業新聞社)より転載))。
HTML(Hyper Text Markup
Language)はこのようなハイパーテキストを記述する言語の一つで、テキストや画像などのホームページ構成要素のフォント、サイズ、位置などの表現形式やリンクの情報などを指定する。
WWWブラウザ
WWWブラウザーは、数年前はMosaicが話題の中心であったが、現在はその後継のNetscape
NavigatorとInternet
Explorerが熾烈な主導権争いをしているのは周知のことである。
最も良く利用されているNetscape
Navigatorは単にNetscapeとも呼ばれる。
Internet
Explorerは、現在はほとんどのインターネット関連雑誌の付録CD−ROMに収められて無料で提供されており、入手が容易で、たび重なるバージョンアップで使い勝手もNetscape
Navigatorとそれほど違わないものとなっている。ただ、それぞれが独自にHTMLを拡張しているため、使用するWWWブラウザの種類によっては同じホームページの表示が異なったり乱れたりすることがあるので、各ホームページで推奨されているブラウザーを使用するのが無難である。
Netscape NavigatorもInternet
Explorerもバージョンが前後することはあるが、Windows95版もMac版も供給されている。
Mac版のNetscape Navigator
3.01では、ブックマークが「ウインドウ」メニューにあるという以外にWindows95版と大きな違いはない。
WWWブラウザはWWWだけでなく、電子メールやネットニュースなどのサービスにも対応しており、次第に統合化ソフトの方向に開発が進んでいる。
URLとDNS
URL(ユー・アール・エル)はUniform Resource
Locatorの略で、どこのネットワークにどのような方法(プロトコル)でアクセスするかを明示して指定するための書式、簡単にいうとインタネットの電話番号(アドレス)のようなものと考えればよい。
httpやftpなど、URLの先頭に指定されたプロトコルに応じてアクセス用のアプリケーションを使い分ける。
例えば、日刊工業新聞社のホームページのURLは
http://www.nikkan.co.jp/
のように表される。
nikkan.co.jpの部分はドメインネームと呼ばれ、nikkanは日刊工業新聞社に割当てられた名前、その後のcoは組織の種別が企業であることを示すタグで、日本では企業はco、米国はcomと表す。
他にも教育は日本はac、米国はedu、政府関係は日本はgo、米国はgovなど少しずつ違いがある。
最後のjpは日本を示す国記号で、ドイツはde、イギリスはgbまたはuk、イタリアはitなどである。
例えば、フェラーリのホームページはhttp://www.ferarri.it/と表記される。
また、インターネットの先進国である米国だけは国記号が省略される。
米国のウェブサーバーに登録すればhttp://www.kochikame.com/のように表記され、国記号のjpは付かない。
ドメインネームシステム(DNS)に関する問題を解決するために、インターネット特別委員会(IAHC)が組織され、現在、組織の種別を示す3文字タグの追加拡張が検討されている。
雑誌や新聞などで紹介されるURLでホームぺージを開くには、Netscape
Navigatorの「場所:」の欄にキーボードから正確に入力しなければならない。
ミス入力はもちろん、文字が全角だったりすると「次のサーバの場所を見つけられません」とメッセージが返ってくる。
またURLにはデレクトリーを示す「~」(チルダー、俗ににょろと呼ばれる)を入力する場合もあるが、これが以外とやっかいで、MSIMEでは「きごう」の読みで漢字変換すればよいのだが、うっかりするとキーボードのあちこちを無駄に打ちまくる羽目になる。
実際に、Netscape Navigatorの「場所:」の欄にURLのhttp://www.nikkan.co.jp/を入力して日刊工業新聞社のホームページ(図2 日刊工業新聞社のホームページ)を見てみよう。
ホームページのメニューで「日刊工業新聞社出版案内」をクリックして進むと本誌「電子技術」誌のページもある。
ブックマーク
一度アクセスしたホームページは気に入ったらブックマーク(本のしおりの意)を追加しておくと次に接続するときはブックマークを開いてクリックするだけよく、キーボードから入力する煩わしさや誤入力の心配がない。
Internet
Explorerでは文字どおり「お気に入り」というわかりやすいメニューになっている。
ブックマークの数が増えてきたら分野別にフォルダーを作ってツリー構造に編集しておけば、個人のインターネットアドレス帳として重宝する。
URLはいつもキーボードから入力する必要はなく、インターネット関連雑誌、例えば、「ヤフー・インターネット・ガイド」などの付録のCD-ROMやフロッピーディスクからジャンル別に整理されたブックマーク集が入手できるので、「ファイル」メニューの「ファイルを開く」で読み込んでおけば、キーボードから入力しなくともクリックするだけで接続できる。気に入ったらブックマークを追加しておく。
サイト検索ソフト
現在、世界には約6000万のWWWのURLがあると言われている。
この中で一般向きのものや有名なものは前述のブックマーク集などのインターネットアドレスブックからデレクトリーを追ってゆけば容易に入手できるが、特殊な分野のURLや新しく登録されるURLの中から目的のURLを探し出すにはコンピュータの検索機能によらねばならない。
このようなWWW検索ソフトはサーチエンジンとかサイト検索エンジンと呼ばれ、日本語と海外のものを合わせて約30ほどもある。
最も有名でよく利用されるのがyahoo!(ヤフーと読む。ヤッホーと読む別のサイト検索エンジンもあるので混同しないように注意)で、これはNetscape
Navigatorではデレクトリーボタンで「ネット検索」をクリックし、日本語を選択し、次にyahoo!
japanを選択すると図3(サーチエンジン)のようなサーチエンジンのページが開かれる。
検索の仕方は二通りあり、図3
の「キーワードを入力」の欄に、例えば、半導体とか特許といった単語を入力した後「検索」ボタンを押す方法と、その下の欄に示されるジャンルをクリックして、次々に絞り込んでゆく方法である。
キーワード検索では、例えば、コンピュータとかインターネットなどのあまりにも一般的なキーワードを入力して検索すると、膨大な数のURLがリストアップされることになるので注意する。そのような場合、ANDやORを使って複数のキーワードによる絞り込みをすればよい。
サイト検索エンジンにはyahoo!や日本語のyahoo!japanの他にもいろいろある。
日本語のinfoseek、NTT DIRECTRY、Nippon Serch
Engine、Hole-in-oneなど、海外ではAlta
Vista、Excite、Lycosなどが代表的である。
また、最近のニュースでは、
NTTアド社が、本格的な日本語WWW検索エンジン・サービス“goo(グー)”を3月27日より開始
すると伝えられている。(
http://www.goo.ne.jp/)
この新しい検索エンジンは、日本最大規模のWWWデータベース(国内350万URL、海外5600万URL)と世界最高レベルのデータ収集処理速度(1日当たり200万URL)を持ち、サービス名称の“goo”(グー)というネーミングは、『global networkが無限大(∞)に拡大し続ける』というインターネットの世界をシンボライズしたものという。
オートパイロット・ツール
インターネット、特にWWWにアクセスすると時間が長くかかるので電話代が悩みの種だ。プロバイダーのアクセスポイントがある都市部に住んでいるなら、「テレホーダイ」の時間帯を利用すればかなり安い電話代で利用できる。しかし、それ以外の地域では高い電話代を覚悟しなければならない。
そのような場合には、オンラインでページを見ながら、次々とページを巡回するインターネット・サーフィンのようなやり方では時間が無駄になってしまう。
パソコン通信のオートパイロットのように、すばやくダウンロードして、オフライン状態でゆっくり読めるようなツールが欲しくなる。
そのようなツールがインターネット・オートパイロット・ツールと呼ばれるもので、「波乗り野郎」、「Web
Whacker」、「NetRecorder」などがある。
注:「NetRecorder」にはMac版はない。
時間の節約ができるだけでなく、回線の空いている時刻に予約して自動的にダウンロードするような使い方もできるので、テレホーダイの時間帯に起きていなくてもよい。
特に定期的に見るページが決まっているWWWオンライン新聞やオンラインマガジンなどの閲覧には有効である。
1. PerMan Surfer 波乗野郎
株式会社ビー.ユー.ジー(http://www.bug.co.jp/)の製品でWebサイトを自動巡回し、指定したホームページを指定のレベルまでダウンロードする。複数の接続先を指定できる。
ダウンロードされたファイルは、HTMLの階層構造にしたがって保存されるので、Netscape
NavigatorまたはInternet
Explorerでオフラインのネットサーフィンを再現できる。
2.Webwhacker(ウェブワッカー)
エー・アイ・ソフト株式会社(http://www.aisoft.co.jp/)の販売するWebWhackerはインターネットのためのオートパイロットソフトで、パソコン通信と同じ感覚でホームページを自動巡回できる。
波乗り野郎と異なり、見たいページだけを指定して選択的にダウンロードできる。
ダウンロードしたページは、Windows95のエクスプローラに似たツリー構造で表示され、そこから見たいページをクリックすればブラウザが開くので好きな順番で見ることができる。
WWWの利用例
1. WWWオンラインニュース新聞を読む
Newsbytes
のニュースは電子メール新聞による配信だけでなく、その一部の記事はWWW(http://www.nby.com/)でも読むことができる。
2. 最新ソフトをダウンロードする
本誌の電子フラッシュで紹介される海外ニュースの記事の最後には詳細情報としてTEL、FAXの他にURLが示されるものが多くなっている。
これらのURLからホームページにアクセスすればさらに詳しい情報や関連する情報を入手できる。
例えば、Miros社のホームページ(http://www.miros.com/)(図
4 Miros社のホームページ)からは新製品ソフトCyber
Watchの無料のデモ版をダウンロードできる。
3. 新製品カタログを入手する
Burr−Brown社のホームページ(http://www.burr-brown.com/)より最新の新製品カタログをダウンロードする。
PDF形式のファイルでA4で8枚の資料だが1分少々で完了する。
読むには、Adobe Acrobat
Readerを用意しなければならない。用意がなければそのページからでもダウンロードできる。
Acrobat readerで読む場合、図5(Acrobat
ReaderでPDFファイルを読む)のようにA4サイズのデータシートが表示され拡大縮小は自由にできる。
印刷すれば、FAXやスキャナーで取り込んだイメージに比べはるかに品位が良く、ほとんど印刷物と見分けが付かない。
またテキストはそのままコピーアンドペーストできる。
4. 特許情報を検索する
コンピュータが得意とする検索処理を活用して、データベース機能を提供している米国特許庁とIBM特許サーバーの二つのホームページを例に取りあげる。
(1)特許関連サイトをさがす。
Netscape Navigatorのサーチエンジンのページを開く。
yahoo!でキーワードをpatentと入力しsearchをクリックするとかなりの数のサイトがヒットされるがその中から日本の特許庁のホームページを探してそこからスタートすることにする。
日本の特許庁のホームページを見ても残念ながら特許検索のサービスは見あたらない。
追記1'97年3月より公開公報のSummaryが試験的に公開されている。
追記2'99年4月より特許電子図書館が開設され、特許等の検索が容易にできるようになった。
(2)米国特許庁のホームページから検索
日本の特許庁のホームページ
(http://www.jpo-miti.go.jp/)の末尾のボタンをクリックしてUnited
States Patent and Trademark Office(USPTO)のホームページ(http://www.uspto.gov/)にジャンプし、ここから2番目の「SEARCH
PATENTS 」をクリックする(図6 米国特許庁のホームページ)。
「Welcome to Patents at CNIDR」とタイトル表示されたページに
U.S. Patent Bibliographic Database
AIDS Patent Database
と表示されるので前者を選んでクリックする。
次のページ(図7 検索スタートページ)で
<Access the Patent Database>を選びクリックする。
検索の方法を尋ねてくる(図8 検索方法の選択)ので、ここでは発明者の名前で検索することにして最初の「Boolean
Search Page」を選びクリックする。
特許番号が判っている場合は、「Patent Number Search
Page」を選べばよいし、Switching
Regulatorなど分野が決まっているときは、「Browse the U.S. Patent
Classifications
Database」を選んで特許分類番号を指定してゆけばよい。
<Boolean Search Page>をクリックすると図9(ブーリアン検索)が表示されるので、Select
DatabaseでAllを選び、Term 1にはsato、Term
2にはtakehisaと入力し、そのあとで右下の<Submit
Query>をクリックする。
Term 1のsatoとTerm 2のtakehisaはANDの関係で検索される。
検索結果は図10(検索結果)に示されるように、8件のタイトルが表示される。
検索された8件の中には、共同出願しているソニーのsatoさんやtakehisaさん(それぞれ苗字と名前だけが一致)や、同姓同名の河合楽器のsato
takehisaさんの申請したものも含まれている。
筆者のものは最後の二件のスイッチング電源に関するもので、例えば、7のSwitching
Power
Supplyをクリックすると前半に発明者、申請者、特許分類番号などの内容が表示され、後半には引用した特許と特許の要約が示される(図11特許抄録)。
また、「Refferenced
By」をクリックすれば、この特許が他の特許文書で引用されている状況もわかる。
(3)IBM Patent Server Home Page
また、IBMがサービスしているIBM Patent Server Home Page(http://patent.womplex.ibm.com/)(図12 IBM Patent Serverのホームページ)でも検索できる。
このサービスは1971年から現在までの26年間の約200万件の特許文書にアクセスできる。
ここではBoolean Text Searchを選んで、sato
takehisaとsanyoを入力し、ANDで検索すると約207万件の中から2件がリストされる(図13 ブーリアン検索の結果)。
それぞれの特許番号をクリックすると要約とクレームの一部などを含むより詳細な内容を見ることができる(図14 特許抄録)。
また、引用している特許のリストが示され、さらに、<Show the 24 patents
that reference this
one>と表示されている部分をクリックするとこの特許を引用している24件の特許番号のリストが示される(図15 引用している特許のリスト)。
最近の17年の特許であれば、詳細表示したページの<View
Images>をクリックすると特許の全文と図面のイメージファイル(TIF)をダウンロードできる(図16 特許のイメージファイル(TIF))。
検索の仕方は、特許番号(国際分類や米国分類)からでもできるし、もっと高度な検索条件で行うこともできる。
このサービスは公共サービスではなく、あくまで私企業がボランティアで提供してくれているサービスであることを心得て、アクセスするときは、ビジネスタイムを避けるなど、サーバーに不要な負荷をかけないような配慮を怠るべきではない。
参考文献
立花隆「インターネット探検」講談社
週間少年ジャンプ特別編集1997年1月31日増刊
「こちら葛飾区亀有公園前派出所デジタル」集英社