第9回
   パソコン通信とインターネット(3)



パソコン通信で、電子メールと並んでよく利用されるのがフォーラムやSIGで、インターネットではこれに相当するものとしてネットニュースがある。
インターネットのネットニュースは、NiftyServeやPC-VANなどのパソコン通信から、フォーラムの電子会議のメッセージを読むのとほとんど変わらない操作で読むことができる。
しかし、両者の管理のしくみは違っており、インターネットに新しく参加する場合は、別の文化として理解し、ネチケットと呼ばれるルールやマナーを知っておく必要がある。
今回は、前回に引き続き、前半に電子メール新聞とメーリングリストを含む電子メールの利用法について、後半はパソコン通信のフォーラムの電子会議とインターネットのネットニュースの利用法について学ぶ


電子メールの普及とネチケット

電子メールの便利な点は、どこの場所からでも送受信できることだ。
たとえば 自宅を長期間留守にするときなど通常の郵便だと郵便ポストに溢れたままになってしまう。郵便局に出向いて転送届けを出しておくと転送されてはくるが、それでもそこで停滞する時間だけ配達は遅れてしまう。
電子メールを利用するとこういった不便さと遅れは一切なくなるから、通常の郵便がsmailなどと揶揄されるのも肯ける。
企業でもイントラネットの構築が進み、全社員がパソコンを導入し、電子メールの交換ができる体制が整ってきている。
最近、在宅勤務、SOHO(ソーホー)、テレワーク、テレコミューティングといった言葉がよく話題に取り上げられるようになってきており、今後このような勤務形態がトランスレータやイラストレータなどの職種を中心に増加してゆき、インターネットはそれを支える重要なインフラで、電子メールやWWWが有力なツールとなると思われる。
NiftyServeのフォーラムFWORKでは、この種の話題がよくテーマになり、論議されている。
このようにインターネットの普及によって、より多くの人があらたにネットワーク社会に参加するようになり、活動する上でマナーやルール(「Network(ネットワーク)」と「Etiquette(エチケット)」を合成して「Netiquette(ネチケット)」などと言われる)を守る意識が要求されている。
ネチケットについては、ネチケットガイドライン(RFC1855)が参考になる。
(http://www.edu.ipa.go.jp/mirrors/togane-ghs/netiquette/rfc1855j.html)

電子メール新聞

電子メール新聞は、電子メールシステムを利用したニュース配信サービスで、ユーザー1人1人に割り当てられているメールアドレスを宛先として情報を配信する一種の同報メールサービスである。

1.どんな新聞があるか
1.1「Internet Watch」、「PC Watch」
インプレス社が提供する電子メール新聞「Internet Watch」や「PC Watch」はサービス加入者を対象に有料(個人購読の場合半年で1800円)の定期的なインターネット関連ニュースやパソコン関連情報の配信を行っている。
ほかにも、「Internet Watch」と「PC Watch」の週間ダイジェスト版である無料の「Free Watch」(週間電子メール新聞)がある。

1.2「PC WEEK WIRE」
ソフトバンク社の日刊電子メール新聞「PC WEEK WIRE」は昨年7月末に創刊され、今年になってから有料配信となった。ダイジェスト版の週間電子メール新聞「PC WEEK WIRE DIGEST」もある。
また「Machintosh WIRE」の無料配信もこの2月19日から開始される。
 申し込みの受け付けは、http://www.softbank.co.jp/sbnet/
macwireで行っている。

1.3「FREE-NBJ」
Newsbytes社が提供する有料版Newsbytes(NBJ-PRO)の日本語訳のヘッドラインと一部の記事のダイジェスト版が無料で購読できる。海外のネットワーク、コンピュータ関連の情報が中心である。

このほかにも日経BP社のWWW新聞「 BizTech」のヘッドラインを電子メールで配信する「BizTech News Mail ]、日本経済新聞社の電子メール新聞「NIKKEI MAIL-Cyber」などがある。

2. 購読の申込み
送付を希望する場合は、例えば、インプレス社の「Free Watch」では、本文にreadとだけ書いてメールをwatch@impress.co.jpに送ればよい。パソコン通信でもインターネットでも希望するほうのIDで申し込むことができる。
また、ソフトバンク社の「PC WEEK WIRE DIGEST」は、SUBSCRIBEとだけ書いたメールをpcweek-wire-digest@softbank.co.jpに送ればよい。
体験購読をして気に入ったら正規購読手続きをする。

3.配信
「PC Watch」や「PC WEEK WIRE」は日、月を除き毎日、「Free Watch」や「PC WEEK WIRE DIGEST」週末に配信される。内容はテキストだけのもので約30Kバイトほどあるから結構読みごたえがある。
インターネットで受信した場合は、クリッカブルURLに対応したメーラーなら、本文中のURLからWWWのホームぺージにアクセスして詳細内容や関連記事を見ることもできる。

メーリングリスト
メーリングリストは、電子メールを使って特定の話題や情報を特定のユーザーに送付するためのシステムで、リストに参加すると他のメンバーが書いたメールが送られてくる。
また自分で書いたメールは他のメンバーに送信される。
メーリングリストの作成はシステム管理者やそれを担当する権限を持つユーザーによって行われる。
メーリングリストは、後述のニュースグループと違い、自分から内容にアクセスしなくとも内容がメールとして送られてくる。
そのため研究開発など真剣なテーマをグループで推進するための通信方法として優れているとされている。もちろんそのようなアカデミックなものだけでなく、なかには「相川七瀬メーリングリスト」、「猿岩石メーリングリスト」といったファンクラブ的なものや「蕎麦メーリングリスト」、「地酒メイリングリスト」などといった趣味的なものも多い。
日本語のメーリングリストはニュースグループのfj.archives.answersの中のタイトル「Active Mailing Lists in JP(96/12/21)[Index]」に紹介されており、新設や廃止の情報を含めて月に一回、「月間ML紹介」として更新される。
メーリングリストのタイトルは17の分野に分類され、リスト1ー3は、インターネット/コンピュータ関連、リスト16が科学関連となっている。(図1 科学関連メーリングリスト(「月間ML紹介」より抜粋)
タイトルだけでなく、参加資格や登録案内などを知るには各リスト毎の詳細を読む必要がある。例えば、NiftyServeでは、リスト16の科学関連は発言番号891を読めばよい。

フォーラムの利用

フォーラムとは、仕事や趣味で特定のテーマに興味を持つ人々が集まって情報の提供や意見の交換を行う場で、電子メールが1対1のコミュニケーションを基本としているのに対し、フォーラムでの発言やコメントは多人数の入会メンバーに公開される。
Nifty-Serveには、その内容ごとに約600ほどのフォーラムに分かれている。
PC-VANの場合は扱うテーマはSIG(シグ、Special Interest Group)と呼ばれるフォーラムに相当するコミュニケーションコーナーに分かれている。
以下NiftyServeをニフティマネジャーVer2.00(ウインドウ95日本語版)を使って利用する場合を例を中心に述べる。

1.関連フォーラムをさがす
多数のフォーラムの中から、目的のサービスを見つけたいときに、ニフティマネジャーでは「フォーラム一覧(FLIST)」と「サービス検索(FIND)」機能が役立つ。
「サービス検索(FIND)」は、思い付いたことば(キーワード)、例えば電子と入力するだけで、該当するフォーラムやデータベースなどが一覧表示され(図2 FIND機能)、そこから直接そのサービスに入ることができる。
また、その中から気に入ったフォーラムをGOリストに登録しておくと(図3 GOリスト)、そこから直接接続することもできる。
コンピュータ関連にまで及ぶとフォーラムの数はさらに多くなる。
ちなみに、「サービス検索(FIND)」でキーワードを”エレクトロニクス”
としたときは、一昨年のエレクトロニクスショーの一件だけしかリストされなかった。

2.入会手続き
気に入ったフォーラムには一時入会でも参加できるが、*で表示されたコーナーは閲覧できない。正式入会するのも手続きは至って簡単で名前を入力するだけで済んでしまう。
名前は実名で登録するが、ハンドルネームと呼ばれるニックネームもしくはペンネームのような名前を使えるフォーラムもある。
(注:後述のインターネットのネットニュースでは、一般にニックネームの使用は認められていない。)
一日位後にフォーラムから入会を承認した歓迎のメッセージが届く。
その時はすべてのコーナーを閲覧できる。

3.コマンドの使い方
フォーラムを読むのはMacでは「Com Nifty」「魔法のナイフ」「茄子R」の三つを組み合わせて読みたいフォーラムを設定しておけば、ボタンを押すだけで、自動的に電子メールの送信と受信、フォーラムへの発言のアップと未読のコメントのダウンロードを行い、おまけに、フォーラムの発言を一つずつに区切って、ページをめくるように読むことができ、毎日の作業はまったく煩わしさを感じさせないシンプルなものとなる。
Windowsでは「Nifterm」、MS-DOSでは「Air craft」が、オートパイロット機能の通信ソフトとして知られている。
しかし、入会したばかりの段階では、記事はすべて未読となっており、会議室によってはその数も500件を越えるえるようになり、これをさかのぼってすべて閲覧するのも大変なので、すべてを読んだことにするとか、タイトルの一覧をリストアップし、重要なものだけ選んで読むなりする必要がある。そのためには、RCコマンドを使って未読位置を設定をする必要がある。
RC [発言番号] :指定した発言番号まで読んだことにする。
例 RC 200 :発言200まで読んだことにする。
RC 999 :すべて読んだことにする
RC ALL :すべて読んだことにする
(未読をゼロにする)
ニフティマネジャーでは、このようなコマンドを使わなくとも、未読位置変更ダイアログ(図4 未読位置変更)で既読状態を選択できる。

4.フォーラムで発言する
フォーラムでは新規の話題を提供する「メッセージ」と特定の発言への「コメント」との二種類の発言形式がある。
たとえば、翻訳をしていて何か分からない言葉に出会った場合、例えば「鋳巣についてどなたか適当な訳語を教えてください」とフォーラムで発言する。
それを読んだメンバーの中から「コメント」が寄せられてくる。
これは電話で物知りの知人に問い合わせてまわるのとは比較にならない便利さがある
もちろん、調べることをきちんとやらずに安易に質問することは慎まなければならない。
余談になるが、筆者は30年ほど前にシリコンパワートランジスタの開発に従事していた。当時、突然死とか二次破壊と呼ばれる破壊現象がパワートランジスタの重要な問題で、その原因の一つにペレットをヒートシンクにマウントするときに半田にできる”す”が問題となっていた。
”す”は、発音から漢字ではうっかり巣を当ててしまうが、広辞苑を調べると最近良く耳にする骨粗しょう症のしょうに当たる鬆というむずかしい漢字を使うことがわかった。
また英語では、ショックレーの論文やモトローラのハンドブックでvoidという単語が使われていたので、英訳資料や学会論文にはvoidを使うことにしていた。
しかし、このフォーラムでのやり取りを見ていると、金属材料処理分野では”す”はvoidではなく、blow holeという訳語があり、術語として「鋳巣」という漢字が使われている(日刊工業「図解金属材料技術用語辞典」による)ことなどが判る。
やはり30年という年月の間に、あの難しい鬆という字は、巣という当て字で誤用され、いつのまにか正式な専門用語として定着したのだろうか?
「広辞苑」、「大辞林」では、今でも巣はあくまで鳥の巣であってvoidやblow holeの意味は当てられていない(少し細部に立ち入りすぎたようだ)。

5.コメントする
他者の発言に対してレスポンス(歓迎、共感、捕捉、反論)を返すことを「コメントする」、「レスをつける」という。
コメントをつける方法は、次のような方法がある。
方法1
すでに読んでしまった発言に対して、コメントをつけるには、コメントしたい発言番号が04548とすると
RC 04547を入力し、続いてリターンを押すと04548が表示されるので、読んだ後そこから発言する。
「1:発言」を選ぶと、メッセージかコメントかを聞いてくるので、
「2:コメント」を選ぶ。

方法2
方法1では、コメントは直前に読んだ発言(この場合04508)のコメントとして登録されてしまう。
任意の発言にコメントするには、REコマンドを使う。
会議室の>(プロンプト)のところで、「1:発言」を選ばずに、いきなり>RE 04548と入力する。

方法3
「メッセージ」を選択しておいて、RE:04548というコマンドを埋め込んでおくと04548へのコメントとして登録される。

ニフティマネジャーでは、発言を表示しておいて「現在表示されている発言にコメント」をクリックすると新規発言ウインドウが開くので、コメントを書き込んでアップロードすればよい。

ネットニュース
1.ネットニュースとフォーラムの違い
パソコン通信のフォーラムの電子会議やSIG(シグ)に相当するものがネットニュース、USENETまたは単にニュースと呼ばれるものでインターネットでは電子メールと並んでよく利用される。パソコン通信とは違った用語の使い方がされるので混同しないように注意する必要がある。
パソコン通信では、何かを書き込むことを「発言する」、「書き込む」などというがネットニュースでは、「投稿する」とか「ポストする」という。
また、パソコン通信で、書き込みに対して何か言うことを「コメントする」、「レスをつける」などというが、ネットニュースでは「フォローする」という。
パソコン通信の乗りでそのまま安易に参加すると混乱を起こしかねない。
利用する際にわからないことがあったら、すぐに質問したりしないで、基本的な質問事項はFAQ(エフ・エー・キュー)という投稿事項にまとめられているので、まずそこを読む。
FAQはFrequently Asked Questions(たびたび尋ねられる質問)の頭文字を取ったもので、問い合わせの多い質問と回答のリストのことをいう。
ソフトやハードなどさまざまな製品、アイテムの機能や使い方、Tipsなど、ユーザーがもっとも知りたい情報をテーマごとに一問一答のQ&A形式でまとめられている。
ネットニュースのしくみは、パソコン通信のフォーラムのように特定のホストコンピュータがあって、その中に記事が蓄積されているのではなく、投稿した記事が配信を受けているすべてのニュースホストコンピュータにバケツリレー式に次々にコピーされてゆく。
このような分散的な管理がされる点で、運営者によって管理される電子会議とは、しくみの上で大きな違いがある。
とはいっても、投稿された記事(アーティクル)が無条件に掲載されるわけではなく、モデレータ(司会者)によってチェックされるニュースグループもある。
いずれにせよ、基本は参加者の各自の相互扶助によって運営されている世界なので、新規参加者はインターネット文化のルールやマナーを守って利用する必要がある。

2. ニュースグループ
配信されるニュースの記事は、内容によって分類され、「ニュースグループ」として提供される。
ニュースグループは、階層構造をしており、一つのニュースグループは一つのデレクトリーに対応している。
デレクトリーの区切りは”.”(ドット)を使い表記する。例えば、電気工学関係のニュースグループはfj.engr.elecのように表す。
ニュースグループの大部分は英語で、現在2万2千グループほどある。このうち日本語のもので代表的なニュースグループはfj(エフ・ジェー、From Japanの略)のデレクトリーにあるものは334個(96.12.13現在)ある。
この中で工学関係のニュースグループは図5(fjの工学分野ニュースグループ(fj.archives.answerより抜粋)) に示すようなものがあり、電気・電子工学についてはfj.engr.elecである。
またコンピュータ関係のニュースグループは、図6(fjのコンピュータ関係ニュースグループ(fj.archives.answerより抜粋))のような階層構造となっている。物理と数学はそれぞれfj.sci.phisicsとfj,sci.mathのデレクトリに対応している。
fjの他にもiijが主宰する日本語ニュースグループtnnがある。

3. パソコン通信でネットニュースを読む
ネットニュースを読むには、NiftyServeなどのパソコン通信からでも、フォーラムとほとんど変わらない操作で読むことができる。
例えば、ニフティマネジャーで読むには、「Goコマンドボックス」にINETNEWSと入力し、fjなりtnnなりのメニューに進んで行けばよい。

4. ニュースリーダ
インターネットでネットニュースを読むにはニュースリーダと呼ばれるニュースグループソフトが必要になる。
WWWブラウザのNetscape NavigatorにもInternet Explolerにもネットニュースを読む機能は備わっているので、これを利用してもよい。。
単体ソフトの代表的なニュースリーダには、MacではNewsWatcherやNewsAgentが、Windows用ではWinVN-J、Wintamaなどがある。

5. Netscape Navigatorの設定と購読
設定では、プロバイダーよりNNTPサーバー名をあらかじめ入手しておく必要がある。
オプションメニューから「メールとニュースの設定」を選ぶ。
「サーバー」のタブをクリックし、ニュース欄にプロバイダから入手してあるNNTPサーバー名を追加入力する(図7 NNTPサーバーの設定)。
他の設定項目は、電子メールの設定で入力済みなのでいじる必要はない。
次に、「ウインドウ」メニューから
「Netscapeニュース」を選択する。
「オプション」メニューから「すべてのニュースグループを表示」を選択すると次のようなダイアログ(図8 ニュースグループの表示)が開き10数分読み込みが続くのでじっと待つ。
左側のウインドウのニュースサーバー(図9 ニュースグループ一覧)から読みたいニュースグループのものをクリックする。この手続きを購読(subscribe)と呼ぶが別にお金を払うわけではない。
右側に記事(アーティクル)の一覧が出るので、読みたい記事をクリックする。
                   (つづく)


参考文献
大前研一「インターネット革命」プレジデント社
Ed Krol著、村井 純 監訳「インターネットユーザーズガイド改訂版」オーム社